「そう言えば留学のことは白崎さんの息子さんにも話したのか?」

「まだ話して無いよ」

「お世話になったんだから、ちゃんとして置くんだぞ」

親父は俺と白崎の本当の仲に全く気付いてない。気付いた所でどうにもならないだろうけど。

親父は見てて気の毒な位、白崎父子を恐れてる。そう言う親父を見てると、俺さえ白崎に我慢すれば、親父も安心して暮らせるのだから、と今までずっとやって来た。

多分これからもそれは変わらない。留学中だけは白崎を忘れられるだろうけど。

「でも寂しくなるわね。ちゃんと毎日、電話するのよ」

母さんが言った。

「毎日、電話は電話代が高いよ。メールで良いだろ?」

と俺は答えた。

「最初の内は電話の方が安心だわ」

「大丈夫だよ。玲だってもう高校生なんだから」

と親父が言った。