秋山君はやっぱり優しい。でも優しくされても、望みが無い私には辛い。嫌われても、優しくされても、秋山君の全部が辛い。でもそれでも離れることも出来ない。離れたく無い。ただのクラスメイトでも、その絆が今の私には大切で。

「ううん、もう良いの。だって秋山君からしたら、春香さんの味方しなくちゃいけなかったろうし。また付き合ってるんでしょ。春香さんと」

「まあな。とにかくちゃんと謝れて良かった。留学の話はもう全部知ってるんだろう?」

「うん。みんな噂してるからね」

でも本当の所、詳しくは知らない。みんな私に気を使って、私の前ではその話はしないから。知ってるのは、せいぜい行き先位。

「どう思う?俺の留学のこと?」

「どうって?応援してるよ。頑張って来てね」

「そっか。それがお前の気持ちか。わかった」

秋山君はそれだけ言うと、教室から出ていった。

今のやり取りで何がわかったのか、私には全然わからなかった。