放課後、なっちゃん達には先に帰って貰った。教室の中には私達以外いない。

グラウンドからは野球部のノックの音が聞こえて来る。そろそろ試合だから気合いが入ってる。

「うちの野球部、強いみたいだから、甲子園に出られるかもね」

と私は言った。他に話したいことはいっぱいだけど、こんなことしか口から出て来ない。

「ああ、そうだな。俺は甲子園に出ても見られないけど」

「その、体に気を付けてね。季節が正反対みたいだし」

「もう慣れてるから」

秋山君は素っ気なく言った。

「それで話って何?」

「ああ、この前のこと謝ろうと思って」

「春香さんが自分のミスを私のせいにしたこと?」

「そう。お前のこと腹立って、あんなことしたけど、やっぱりあれは良くなかった。留学前にちゃんとしておこうと思って」