「あんまり難しく考えなくて良いから、とにかく三ヶ月付き合ってくれ」

「だからちゃんと説明してよ。最初から。付き合うかどうかはそれから」

「わかった。まあ、どっちにしても付き合って貰うけど。お前さ、前も言ったけど俺のこと嫌いだろ?」

「なんで私が秋山君のこと嫌いだと思ったの?だいたい、昨日まで全然喋ったこと無いのに」

「そりゃわかるよ。だってお前、俺を見る目が最初から違ったもん。敵を見るって感じで。他の女子は俺のことそんな風にみない。なんでそんなに嫌われてるかわかんないけど」

それは秋山君があの人と同じタイプだから。最低なあの人と。

「でもそれでなんで付き合うってことになるの?」

「俺さ、もう何人もの子から告白されてるんだ。でも今は彼女なんて作る気無いから、正直断るのもいちいち面倒で。それで彼女が居れば流石に告白もされないだろうし、楽だと思ったんだ」

「じゃあ本物の彼女作れば良いでしょ」

「ダメなんだ。三ヶ月の間は。どうしても」

「三ヶ月後に何かあるの?」

「それはお前には関係無い」

「ってことは私はニセモノの彼女ってわけ?付き合う振りをしろってこと?」

「そう、その通り。俺はお前のこと嫌いじゃないけど、全然魅力を感じない。ちんちくりんだし。で、お前は俺が嫌い。だから後々に面倒なことにならない」

「待って、もし私のこと好きな男子が居たらどうするの?彼氏だって居るかもしれないでしょ」

「お前、彼氏居るの?」

「それは、その今はたまたま居ないだけで」

「はいはい、たまたまね。たまたま十五年、彼氏が居ないってわけね」

「でもクラスの男子の中には・・・」

「その心配は無い。池谷さんや安部さんの話題は出るけど、お前の話は出ないから」

薄々わかってたけど、ハッキリと言われると腹が立つ。

「まあでもお前そこまで悪くないから安心しろ」

何、その微妙なフォロー。

「ほら、あんまり可愛くない彼女だと、もしかしたらニセモノだって怪しまれるかもしれないだろ」

「じゃあ私のこと本当は可愛いって思ってるの」

「いや、でもギリギリで及第点かなと。勘違いするなよ。ギリギリだからな」