大嫌い、だから恋人になる

お化け屋敷に入る前、凜ちゃんは言った。

「私は怖く無いけど、二人がどうしても怖いなら止めても良いよ」

でもその返事に答える前に、係員が私達を中に誘導した。

お化け屋敷は正直、そんなに怖く無かった。噂が独り歩きしてるみたいで、小学生位の女の子達でも平気そうだった。

ただ凜ちゃんは別だったみたい。

私の腕をぎゅっと掴んで、明らかに作り物のお化けにも悲鳴をあげてる。

世の中、凜ちゃんみたいなお客さんばっかりだったら、お化け屋敷の人も楽しいだろうな。

「ちひろが怖がるといけないから、腕組んであげてるんだからね。勘違いしないでね」

「はいはい。凜ちゃん可愛い」

私がそう言うと凜ちゃんは思い切り私の腕をつねった。でも凜ちゃんは絶対に私から離れようとしなかった。

「別に何にも怖く無いから。ただ暗闇で転んだら危ないでしょ」