「どうしました?」


「別に何にもないから!」



わざとらしく聞くと、夏希さんは、必死そうに答えた。
本当に夏希さんは、いちいち反応が可愛い。



「 、あと2部屋は?」


夏希さんは、話を逸らしたいようだ。



「夏希さんの部屋の隣が俺の部屋で、あと向かい側が寝室です」


「本当に広い部屋ね」


「親に感謝ですね。広いおかげで夏希さんが来てくれたんで」


「っ、また、そんな事言って!」



今日の夏希さんは、俺の言葉ひとつひとつに動揺している。少しは、俺の気持ちが、伝わっているのだろうか。


まぁ、これから一緒に住むんだ。嫌ってほど、俺の気持ちが伝わればいい。



「夏希さん、」


「、何?」



夏希さんと視線が絡み、俺は、右手を夏希さんへ差し出した。



「これから、よろしくお願いします」


「、よろしく」




夏希さんは、俺の手を握って、微笑んだ。