私達は、1位を取った。

見事、予選突破だ。

やっぱりだめで、また泣いてしまった。

律くんはそんな私を呆れながらも頭を撫でてくれた。

でも、奏さんの名前が聞こえてこなくて不思議だった。

毎回聞こえてくるはずの奏さんの名前。

「どうしたの?」

「えっと…奏さんの名前が聞こえてこなくて…」

「確かに…」

後に分かった事だけど、奏さんの演奏は何処か違ったらしい。

私は緊張で何も聞こえなかったけど。