「あの人は、ピアノの技術は確かだよ。だから律くんは憧れたんだよね?だからーー」

「音」

「…っ」

微笑んで、私の頭を撫でた。

「俺は、ただこの人は優しい人じゃなかった、ピアノだけだって分かったから嫌いになったんだよ」

「律くん…」

もう1度私の頭を撫でると、あの人が写っている雑誌全てを破った。

「はい、全部捨てた」

「……」

私の所為……