「この人…音のお父さんだったの?」

少し震えながら、私は頷いた。

「マジか…」

「どうしたの…?」

律くんの様子が変だった。

「…うん、ごめん。俺、この人に憧れてたんだ。小さい頃から」

「えっ…」

そんな…

「でも、うん。俺が思ってた人とは違った。憧れでもなんでもなくなった」

「そんなっ…だめだよっ…ずっと憧れてたのにっ」

律くんは首を振ったけど、私は喋り続けた。