コイノネイロ

「結婚してから、10年経って奏を授かった。でね、最初のうちに頑張り過ぎて、次の子が出来ないかもしれないって言われてたの」

視線を逸らさず、表情も変えずに話し続けた。

「ママは諦めきれなくて、色々頑張った。辛くて苦しくても、頑張った」

目に涙を浮かべて、私の頬に手を添えた。

「…っ」

「そして、4年経って、音を授かったっ」

「ママっ…」

「あの人は、諦めようって言ってたけど、すぐに音がお腹にいるって分かって…泣くほど嬉しかった」

ママは涙を拭い、続ける。