«音はママの子だから、出来損ないでも恥晒しでもない。音は凄いよ。ママは音が大好き»

今でも、お守りみたいな言葉。

「ありがとう音〜。そうだ音〜!あのね!ママの知り合いがピアノをーー」

そう言いかけて、ママはハッとした顔になった。

「何でもない!何でもなかった〜あはは!」

「ママ、私、ピアノまたやろうかなって思ってる」

「…っ!」

これ以上開かないだろうというくらい、ママは目を見開いて驚いていた。

「それ本当…?」

「うん」

「…そう、分かった。じゃあ、ピアノ用意しておくわね」

「ありがとう、ママ」

ママは微笑むと、私の頭を撫でた。

そして、立ち上がりキッチンに向かった。