一時期だけ、ママから笑顔が消えた時がある。

私の所為で。

倒れた後、私は控え室で目を覚ました。

最初に話しかけてくれたのはママだった。

優しくよかったって笑顔で言ってくれた。

その後だった。

「音、なんなんだ?あれは」

「え……」

あの人の、怒った声が耳に入った。

「パパ…?」

「あなた!」

「君は黙ってなさい。いきなり倒れて、なんで弾かなかった」

あの人の顔は、鬼みたいに怖かった。