「綺麗だなぁ…いい音だ…」

「そうだな、親父」

「律と音ちゃんのピアノは世界一ですよね、お義父様」

「うんうん!おじい様大好きだよね!」

皆さんの言葉を聞きながらピアノを最後まで弾き続けた。

「聴けて良かったよ…ありがとう…」

「親父?」

「お義父様!」

「おじい様!?」

思わず、弾く手を止めてしまった。

「おじい様ぁっ!」

「おじい様!」

私と律くんもおじい様の元に近寄った。

微笑んでた。

でも、もう息はしてなかった。

「いやっ…だっ…」

皆さんが、声を上げて泣いていた。

律くんも。

私も。

人が亡くなるのは、もう見たくなかった。

これ以上、辛い事なんてないくらいだ。