あの人の所為でピアノが弾けなくなった…

あの人の…

「ねえ音ちゃん、昔を思い出してみて。ピアノ弾いてて、楽しかった?」

昔…

ピアノ弾いてて…

«「音凄いわ!ピアノ、上手になったね!ママ嬉しい!」»

「楽し、かった…」

「だよね?このままだと悔しくない?“恥晒し”や“出来損ない”って思われ続けるんだよ?」

「悔しい…」

私がそう言うと、律くんは私の腕を掴んだ。