コイノネイロ

「確かに…おじい様は最近様子がおかしかった…

この前のコンクールの時、死ぬまで忘れないって言ってました…
それが原因だったんですねっ…」

言葉の重さ。

言葉の意味を私はようやっと理解した。

「おじい様はまだ元気なのに…」

「いつ何があるか分からない、それが人生なんだよ。

最期まで、一緒にいたいと俺は思ってる。
ここまで立派に育ててくれて、詩乃との結婚も唯一最初から認めてくれた親父だから。

皆には迷惑かけると思うけどーー」

「何言ってるの敦。迷惑だなんて思わない。
私だって最期まで一緒にいたい。

結婚賛成してくれた時から、娘として可愛がってくれて、良くしてくれた。
敦と同じ気持ちよ」

「私も!おじい様と一緒にいる!」

「俺も。

認知症になったからといって、離れる事は出来ないよ」

「私も同じです。

実の孫の様に可愛がってくれましたから」

詩乃さん、詩ちゃん、律くんそして私が敦さんと同意見だった。

「ありがとう、皆…」