おじい様は仕事だという事で留守にした。

椅子に座ると、敦さんさんはこう言った。

「親父は…認知症なんだ」

一気に空気が凍った。

「認知症…?」

「おかしいなって思い始めたのは2ヶ月前で、検査してもらったんだ…
そうしたら…

最近、忘れっぽくなったって言ってたろ?
その所為なんだ…

これから徐々に記憶が無くなってしまう…
俺達の事さえもっ…」

敦さんは、涙を流した。

かける言葉が見つからない。

「お義父様がっ…」

「おじい様が認知症とか信じられないよ!
あんなに元気じゃない!

今月までは社長だよ!?」

「父さんだって信じたくはないさっ!
けど思い出してみなよ詩…

思い当たる節はあるだろ…?」

その言葉に詩ちゃんは俯いた。