そして、いよいよ私達の番だ。

アナウンスが流れ、ピアノの前に立ちお辞儀をした。

詩乃さん達が頑張れと応援してくれている。

ママも、応援してくれている筈だ。

椅子に座ると、私は胸元のロケットペンダントを触った。

お偉いさんに命令されたからといって、言いなりにさせないような演奏にする。

正々堂々と戦う。

戦ってやる。

「じゃあ、いくよ、音」

「うんっ」

その合図で、ピアノを弾き始めた。

音を聴いていて、色んな事を思い出した。

あの人に褒められた時の事。

奏さんに褒められた時の事。

ママに褒められた時の事。

律くんと出会った時の事。

初めて連弾をした時の事。

律くんと出会わなければ、今の私は無い。

ありがとうだよ、律くん。