コイノネイロ

「さ、音。
ピアノの練習をするよ」

「うんっ」

神宮寺さんとの問題は解決したが、まだ問題が私達にはあった。

ピアノのコンクール。

もっともっと上手くなって、プロのピアニストになるんだ。

コンクールは、来週の土曜日。

「音?どうした?」

「え?」

「や、顔硬いからさ」

緊張していた。

律くんは、気づいたんだ。

「音、大丈夫。俺がついてるから」

「…うんっ」

微笑み、頭を撫でてくれた。

そして、ピアノの練習を始めた。

1曲、全部弾き終えると、ノック音がしておじい様が入ってきた。

「頑張ってるな。

詩乃ちゃんからじゃよ」

両手にはマグカップが。

中身はココアだろう、甘いいい香りがする。

「ありがとうございます」

「ありがとう、おじい様」

「フッ…頑張れよ」

おじい様が出ていった後、ココアを1口飲んだ。