コイノネイロ


「わざわざお越し下さって」

「いやいや、あの返事が聞けるのでね」

「お世話になっております、おじい様」

お堅い挨拶を両方交わした。

神宮寺さんはちらっと私を見ると、一瞬だけ笑みを浮かべた。

「律と麗華さんの結婚の話ですが、お断りさせてください」

「は?!」

神宮寺さん達は驚きを隠せないみたいだ。

「断る際は、取り引きは一切しないと言いましたが、それでいいんですか?!」

「はい。孫の人生を会社の為に奪いたくはないです。
それに、あなたの会社と取り引きしなくなったからといって、潰れるような会社ではないので。

儂は今月いっぱいで社長を辞めます」

「「「っ!!?」」」

社長を辞める…!?

「息子の敦が、来月から社長になります。
敦と相談した結果でもあります」

おじい様の発言に、敦さん以外驚いた。