コイノネイロ

詩乃さんも出掛ける予定があった為、今帰っても誰もいない。

「ねえ律くん…」

「ん?」

「私、律くんも…詩乃さん達も大好きだよ…?」

「うん」

家の中に入ると、律くんは私を降ろした。


「私は、律くん達に苦労かけたくない…」

「音?」

「私がいなくなれば…律くん達は…」

「何言ってんの?」

律くんの声は少し怒り気味になっていた。

持っていたうさきさんのぬいぐるみを更に強く抱きしめる。

「神宮寺さんと結婚すれば、律くん達は苦労しなくて済むのは分かってる!
私と結婚すれば苦労するのは皆さんだ!

だったら!」

「馬鹿な事言うな!」

「…っ!」

家中に響くくらい、大きな声で言った律くん。

つい反射的に目を瞑って俯いてしまった。