「律…神宮寺麗華さんがいらっしゃったわ…」

詩乃さんがドアを開けすぐそう言った。

「えっ…」

「おいおい…」

「まじか…」

神宮寺さんが…

「分かった、すぐ行く」

1度私を見てから、律くんは部屋を出た。

私達もその後を追う。

「なんの用?」

「わたくしはあなたの婚約者ですわ。

会いに来てもおかしくはないでしょう?」

「俺は認めてないからな」

「それより、これからお出掛けしません?」

「あ?」

2人の会話を遠目で見ていると、すごく、胸が痛くなる。

「音…!?どうしたどっか痛い!?」

蘭子の声で我に返ると、私の頬に伝う涙を拭ってくれて、心配そうな顔の蘭子が目の前にいた。

「蘭子っ…」

「あ〜なぁ律、これから遊びに行く予定だったよな?

神宮寺さん、俺達も一緒でいいでしょ?」

「え、あ、いや…」

「音達も一緒でいいだろ?

俺は認めてはいないが、仮にも婚約者の親友だぞ?」

その流れで、私達は出掛けることになった。