「待てよ。俺はお前の事一切知らないし、彼女だっている。

なのにいきなり婚約者とか…意味分かんねぇ」

バグから直った律くんは、そう言った。

「おじい様にお話している筈ですわ。

そして、婚姻出来なければ、今後一切取り引きは致しませんと」

「「…っ!」」

そんな…

婚姻しなければ取り引きはしない…?

「音、帰るよ」

「え…あ…」

律くんにそう言われたが、私は動けなかった。

ついこの前、漫画とかに出てくる権力争いがあったと思ったら、また漫画やドラマとかに出てくるような事が目の前で起きているから。

「その事を話したのは1か月前くらいだったかしら。

お返事に困っているなんて、ちょっとは迷っているって事かしら」

「黙れ。

音、行くよ」

手を引かれ、学校を出た。