「律、音ちゃん、あまり無理しないでね。

はい、ココア」

詩乃さんは夜遅くまで練習しているのを心配してくれている。

ここは防音だから音漏れはしない。

「勿論」

「はい。

ココア、ありがとうございます」

「いえいえ。

頑張ってね」

そう言い残して、部屋を出て行った。

「音、眠くない?大丈夫?」

「うん、大丈夫!
律くんと一緒だから!」

「音…」

風間さんと一緒だった時は、褒められなかった、怒られてばかりだったから大変だった。

だけど、律くんとなら全然平気。

だって褒めてくれるもん。

間違えても、怒られないもん。

すごく楽しくなる。

それに、如月さんと楠さんに負けたくない。

観客の人達の心を掴む為の演奏。

だけど、そうじゃない時もある。