「なぁ」

「どうした、彼方」

私達は、彼方くんを見た。

「確かに、如月さん達の演奏は凄かったし、技術もあった。

だけど、素人だけど、俺からしてみれば、律達の方が上手かった気がする」

「えっと…有難いけど、どういう事?」

律くんが聞く事に対して、私も頷いた。

イマイチ言っている事が分からない。

「だから、つまり…そのー…」

「彼方が言いたい事は…

如月さん達の演奏技術はあって、凄かったけど、音達の方がもっと凄い。
なのに音達が優秀賞で如月さん達が最優秀賞なのはおかしい…って事?」

「そう」

「だけど、如月さん達の方がーー」

「自信持て、律。
音ちゃんも」

彼方くんは、はっきり言った。

「俺は、如月さん達より、律達の方が上手いと思う」

「あたしも同じ」

遥加くんも手を挙げた。

多分、口元の動きで分かったんだと思う。

「皆…」

「ありがとうっ」

お礼を言うと、皆微笑んだ。

「ちょっと、如月さん達の事調べてみるよ」

律くんは言った。