コイノネイロ

「律くんっ…

練習しよっ…」

「ああ」

会場を出ると、蘭子と彼方くん、遥加くんが待っていてくれた。

「音…」

「蘭子…

へへっ…実力、足りなかったって…
頑張ったんだけどなっ…」

「音っ」

蘭子は私を抱きしめてくれた。

私が泣いたからだと思う。

「優秀賞だって立派な賞だよっ…

どんな結果だろうとっ…あたしの中での最優秀賞は音達のピアノだよっ…」

「蘭子っ…

ありがとうっ…」

蘭子から離れると、スカートの裾を引っ張られた。

見てみると、遥加くんだった。

そして、笑顔で紙を差し出した。

見てみると、こう書かれていた。

【僕は音が聴こえないけど、とっても凄かったよ!
音お姉ちゃんと律お兄ちゃんのピアノ!】

「遥加くんっ…

ありがとうっ!」

ピアノの練習の合間に、手話の練習をしていた。

覚えた手話でお礼を言った。