〈音STORY〉

私の目から、沢山の涙が零れ落ちた。

「あ…

音ちゃん泣きすぎ〜」

笑いながら涙を拭ってくれた。

「だってっ…」

逃げている私が、すごく恥ずかしい。

詩乃さんは私よりも辛い思いをしていたのに立ち直って。

なのに私は…

風間さんに言われた事があの人と同じで、似ているだけで。

私はピアノから逃げた。

あの日から逃げた。

そして、律くんからピアノを取り上げた。

律くんは私が弾きたくないと言った時から、1度もピアノを弾いていない。

私の所為だっ…

「ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…」

「え?音ちゃん?」

ここにはいないけど律くんと、詩乃さんに謝った。

私はすごく弱い…