でもね、琴音ちゃんといる時だけはとても楽しかった。

自然に笑えたし、冗談も言えた。

一応敦達の前では笑ってたけど、琴音ちゃんといる時とは違う感じがした。

律は、何かを察してくれたみたい。

小さいながら、気を遣ってくれた。

「お母さん、大丈夫?

俺、なんでもやるからなんでも言ってね!」

きっと、私が壊れないで済んだのは、律と詩と琴音ちゃんがいてくれたからだと思う。

律のおかげで、お義母様と離れられたけど、いつまた現れるか分からなかった。

すごく怖くて怖くて仕方なかった。

敦やお義父様から申し訳ないくらい謝られたけど、やっぱり無理で。

でも、暫くしてからお義母様が亡くなったと報せが来た。

不謹慎だけど、安心した。

もういびられなくても済むと思ったら、自然と笑えた。

そして、今の私がある。

だけど、忘れた訳でも、許した訳でもない。

未だに思い出してしまう時もある。

でも、敦やお義父様がいてくれる。

律や詩がいてくれる。

音ちゃんもいてくれる。

私は、しっかり立ち直れた。

〈詩乃STORY END〉