でもね、そんなお義母様が優しくなった時期があったの。

それは、律がお腹にいるって分かった時。

「詩乃さんっ…

おめでとうっ…」

「お義母様っ…」

泣いて喜んでくれた。

やっと、大空家の嫁として認めてくれた、そう思った。

だけど違った。

律が2歳になった時、律が思い通りにならないと分かってまた私に文句を…

お義母様は、律がピアノを弾くのを嫌がっていた。

女の子らしい事はさせないでって。

でも私は辞めさせなかった。

律のやりたい事をやらせたかったから。

そして、また毎日お義父様と敦がいない間の嫁いびり。

両親は既に事故で亡くなってしまったから頼れる人がいなかった。

詩がお腹にいると分かった時、少しだけ嫁いびりは治まったけど、産まれるとまた…

律が小学校に上がった辺りから、楽しいとか、嬉しいとか、感じられなかった。