昨日は本当にいい日だった。

思い出に浸かっていると、ピアノがある部屋の前にいた。

「ピアノ…」

«「恥晒し」»

「…っ」

«「出来損ない」»

耳を塞いでその場にしゃがんでしまった。

耳を塞いでも聞こえてくるその声。

忘れる事の出来ない私の心に負った傷。

もう一生、ピアノを弾けないのかな…

「音ちゃん!?
大丈夫!?」

詩乃さんの驚いた声が聞こえてきた。

「詩乃さん…

すみません。大丈夫です」

「良かった…

音ちゃん、詩乃さんの昔話でも聞いてくれる?」

「え?はい」

「じゃあココアでも淹れましょうか」

笑顔でそう言って、キッチンに向かった。

ココアを淹れて、ソファに座った。

〈音STORY END〉