コイノネイロ

夏祭り当日。

「律、着替えんしゃい」

「は?」

「早く着替えなさい。

敦、お願いねっ♡」

「はいよ。

さ、行くよ」

「は?ちょ、何?」

ほぼ無理矢理連れて行かれた律くん。

「音ちゃんはこっち☆」

私の部屋に入ると、詩乃さんは浴衣を着付けてくれた。

そして髪も結ってくれた。

「わぁ…

流石母娘、すっごくそっくり」

自分で言うのもアレだけど、確かにママに似ていた。

自分で言うのもアレだけど。

「良かった、浴衣作って。
まるで、琴音ちゃんがいるみたい」

鏡越しで見る詩乃さんの顔は、とっても優しかった。

「音ちゃん、今日は2人で楽しんできてね。

詩は友達と行くって言ってたから会うかもしれないけどスルーしちゃっていいから☆」

「スルーって笑」

「えへっ☆

最高の思い出を作るのよ」

「はい。

ありがとうございます!」

「うん!」