コイノネイロ

「音ちゃーん!」

「詩乃さーーふげっ!」

勢いよく抱きつかれた為、変な声が出た。

「ど、どうしたんですか?」

「夏祭りよ夏祭り!」

「夏祭り?」

お目目きらきら〜って、

きらきら〜ってしてる。

「そう!今度の土曜日、夏祭りがあるじゃない!

浴衣、作ったの!」

手を引かれて歩いて行くと、詩乃さんと敦さんの部屋に着いた。

「どうぞどうぞ!」

「えっ、でも!」

「だいじょーぶ!気にしない気にしない〜」

ほぼ無理矢理、強制的に部屋に入った。

すると、目の前にピンク色の浴衣が現れた。

「っ!
この生地…」

「そう。琴音ちゃんが着てた浴衣と同じ生地。

探しちゃった」

「詩乃さんっ…」

一気に涙が溢れ、私は詩乃さんに抱きついた。

「あら、また泣いちゃって〜。

よしよし」

何度泣いても慰めてくれる。

詩乃さん…