コイノネイロ

「あ、だからあんた出掛ける用事あったんじゃないの?」

「彼方と遊ぶ約束してただけだから電話すれば大丈夫」

「そう。じゃあお昼ご飯準備するわ」

律くん遊べなくなったんだ…

私の所為で…

「ごめんねっ…律くんっ…」

「なんで…なんで謝んの?

気にするな」

頭を撫でながらそう言ってくれた。

「俺は誰よりも音が大事なんだ。
何があっても、音を優先するよ」

「律くんっ…」

律くんは微笑むと、私の頬を伝う涙を拭ってくれた。

その後、詩乃さんが持ってきてくれたご飯を食べた。

だけど、あの時から全くご飯を食べていなかった為、気持ち悪くなって残してしまった。

「ごめんなさい…」

「いいのよ。謝らないで。

お夕飯はお粥にしようね」

詩乃さんの優しさに、また涙を流してしまった。