「音、家に帰ろう…」

そう言うと律くんは私を抱えた。

「律くっ…

律くんっ…」

会いたかった律くん。

さっきは苦しくてそれどころではなかった。

律くんの匂い、律くんの温もり。

兎に角久しぶりな気がする。

思わず私は涙を流した。

「音っ?どうしたっ?」

「律くんっ…」

歩きながら、私を抱きしめてくれた。

「母さん!」

「あれ?出掛けたんじゃーー

音ちゃん!?どうしたの!?」

詩乃さんの驚いた顔が見えた。

「足怪我してるから手当しないと!」

「うん!」

律くんは私をソファに寝かせると、詩乃さんが持ってきてくれたタオルで私の足を拭いた。

「血が出てる…

歩く時痛いかもなこれ…」

そう言いながら、手当してくれた。