「今日で4日目ですが、一向に上手くなりませんね。

音さんなら、お父上を越せますよ。

真面目にやってください」

「ごめんなさっ…」

出来損ないなんだっ…

上手くなれないっ…

「さぁ、練習始めましょう」

「は…はい…」

鍵盤に指を掛けたけど、動かなくて弾けなかった。

「どうしたんです。

さっさと弾きなさい」

「はあっ…はあっ…」

弾けないっ…

指が動かないっ…

助けてっ…律くんっ…

「音さん!弾きなさい!

だから出来損ないと言われるのですよ!」

「いやあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

「音さん!?」

「出来損ないなんて言わないでっ!恥晒しって言わないでっ!」

パニックになりながら、私は部屋から飛び出した。