「あ、いた」

ピアノのある部屋にいた。

「律くん」

「…っ、音…」

律くんの隣に座ると、律くんは私を抱きしめた。

その身体も、まだ少し震えていた。

「音の所為じゃないけど…

音を守ろうとして刺されたじゃん…」

「うん…」

「トラウマになってんのかな…

包丁が怖かったんだ…」

だからさっき包丁を見て震えてたんだ…

「本当にごめんねっ…」

「違うよ!そうじゃなくて…

俺が辛くなるからっ…もう謝らないでよっ…」

「うっ…うんっ…」

どこまで優しいんだろう、律くんは…