「律ー、音ちゃんー!

ちょっと手伝ってくれない!?」

「「はーい!」」

おじい様にぺこっとしてからキッチンに向かった。

いい香りが漂ってきた。

「律はあそこの棚からお皿取ってくれる?」

「はいよ」

詩乃さんが指さしたのは1番上のお皿だった。

そりゃ、背が高い律くんじゃなきゃ取れないわな。

「音ちゃんはキャベツを千切りに切ってくれるかな?」

「はい!」

千切りは得意だ。

まぁ、他の切り方も得意だけど。

「はい母さん」

「サンキュー!

って律?」

振り返ると、震えて私の手元を見る律くんが。

「律?大丈夫?」

「えっ…あっ…うんっ…ごめんっ…ちょっとっ…」

「律!?」

キッチンから出て行った律くん。

「詩乃さん私追いかけます」

「あ、うん、お願い」

包丁を置いて、私もキッチンを出る。

律くんの部屋かピアノのある部屋だと思うけど…