「これで良かったの?」
「うん。
一生、許せないと思うから」
あの後、パパは私を抱きしめた。
最後の、ハグ。
許そうと思った。
何度も何度も思った。
実の父親だから。
だけど、やっぱり許せない。
だから、もう会わない。
「そっか」
「甘々な所すまんが、ちょっといいかい?」
「と、父さん!?」
「敦さん!」
遠慮がちに話しかけてきたのは敦さんだった。
「音ちゃん、もうすぐ誕生日だろう?」
「あ、そうだった…」
忘れてた☆
「ふふっ…それで、何が欲しい?」
「えっ…と」
「父さんの事だから、高い物も買ってもらえるかもよ」
「物にもよるって…」
笑いながら言う律くんに対して、敦さんは慌ててそう言った。
「私、何も要りません」
「え、でも…」