「大空さん、ご家族に会えますか?」

頷いた俺を確認して、看護師さんにこう言った。

「ご家族に知らせて」

「はい」

早く音に会いたい。

会わせて。

音…

「律っ」

母さん達が俺の元に来た。

その中に、音が居た。

「おっ…とっ…」

音を抱きしめたいのに、身体が動かない。

動かせない。

「律くんっ…良かったっ…

ごめんなさいっ…私の所為でごめんなさいっ…」

いっぱい涙を流すもんだから、可愛さが増してもっと好きになってしまった。

「音…怪我無い…?大丈夫…?」

「うんっ…怪我無いよっ…」

「良かった…」

俺の手を握る音の手を更に強く握りしめた。

「心配かけてごめん…」

俺は父さん達に謝った。

「何言ってんだ律…

お前が無事だったんだから、それで良いじゃないか」

「そうじゃよ…本当に良かった…」

「お兄ちゃん目覚ましてくれて良かったっ…」

「律、目を覚ましてくれてありがとう…」

皆、涙を流していた。

沢山心配かけたんだよな。

家族を見ていて、俺まで涙が溢れてきた。

「律くんっ…

私を守ってくれてありがとうっ…
目を覚ましてくれてありがとうっ…
1人にしないでくれてありがとうっ…」

「音…」

愛しい愛しい音の頭を、俺は撫でた。


そして暫くして、俺は個室に移った。

〈律STORY END〉