コイノネイロ

「律なら…きっと大丈夫…

だから、自分を責めないでね…?」

「はいっ…」

律くんっ…

お願い目を覚ましてっ…

私を1人にしないでっ…

律くんっ…

「詩乃!」

「詩乃ちゃん!」

「敦!お義父様!」

息を切らした敦さんとおじい様がこちらに向かってきた。

「律は!?」

「さっき手術終わって、集中治療室に居るそうなの…

いつ目を覚ますか分からないみたい…」

「そうか…」

敦さんとおじい様は顔を伏せた。

私はその時気づいた。

詩乃さんの身体も震えている事に。

怖くて怖くて、心配で仕方ない筈なのに私があんな事言ってっ…

詩乃さんだって泣きたい筈なのにっ…

私の所為でっ…

「音ちゃん、音ちゃんは怪我ない?」

敦さんが私にそう聞いた。

「はっ…はいっ…」

「そっか…良かった…」

私が返事すると、安心した顔になった。

その顔は、父親の顔。

「音ちゃんに怪我無くて良かった…

律…早う目を覚ませ…」

おじい様…