コイノネイロ

「うっぐ…」

「はは！ははは！」

律くんはお腹を抑えたまま、倒れ込んだ。

そのお腹から血が出ていて、顔には汗をかいていた。

「り…つくん…？なに…？

やだ…よ？律くん！？」

何があったのか、全く理解出来なかった。

ただ目の前にお腹から沢山血を流して倒れている律くんと、手に血の付いたナイフを持った奏さんが狂ったように笑っている光景が目に入った。

「律くん！起きてよ！律くん！」

律くんに駆け寄ると、私は呼びかけた。

だけど、目を覚まさなかった。

怖くなって、只々パニックになって。

身体中が震えた。

律くんに呼びかける声も震えた。

救急車を呼ぶという事は全く考え付かなかった。

だけど暫く経つと、通話中だった為、居場所を突き止めた警察と、警察が呼んだ救急車が到着した。

奏さんはその場で逮捕され、律くんは病院へと運ばれた。