コイノネイロ

夢の中で、問われました。
私の願いはなんなのか…

よく考えてみました…そしたら、分かったんです…
私の願いは、あの人をパパと呼びたい、あの人に、娘と認めてもらいたい事だって…」

「音ちゃん…」

「でも…

やっぱりあの人はあの人だった…
私を急に可愛がらなくなった理由は、私に恐怖を感じて憎くなったからだそうです…」

「恐怖…?」

私は詩乃さんの問いに頷いた。

「あの人がプロになるまで、沢山練習をしたそうです…
奏さんもしっかり弾けるようになるまで何年も掛かって…

だけと私は物心ついた時からしっかり弾いていたみたいで…その所為で私に恐怖を感じて憎くなった…
だから…

あの人言ってました…
奏さんは下手だって…

奏さんは下手ではありません…色んな人に褒められていました…

やっぱり私は、パパと呼びたくない…
娘と認めてもらわなくていい…そう思いました…

あの人の所に戻りたくないっ…
私の居場所は無いっ…」

「何言ってるのよ音ちゃんっ!音ちゃんの居場所はここよっ」

詩乃さんは、泣きながら私を抱きしめてくれた。

「詩乃さっ」

「そうだよ音ちゃん。音ちゃんはもう、うちの娘だ。何処にもやらないよ」

「敦さんっ…」

敦さんは私の頭を撫でてくれた。

「音ちゃんは、ここを出て行く事は無いよ」

「おじい様っ…」

「そーだよ。音居なくなったら寂しいじゃん…」

「詩ちゃんっ…」

「てゆーか、何があっても俺が離さない。絶対に」

「律くんっ…」

私の居場所は、ここなんだっ…

ここに居ていいんだっ…

「ありがとうございますっ…」

ママ、私は今、凄く幸せだよっ…