コイノネイロ

無意識に、撫でてもらっていた髪を触っていた。

「家族4人で、毎日楽しくて…毎日笑顔で…

でもある日から…あの人は優しい笑顔を向けてくれなくなりました…
あの人は、姉ーー奏さんばかりを可愛がるようになりました…」

律くんは、震えていた私の手を握ってくれた。

顔を上げると、今にも泣きそうな顔をしていた。

微笑みかけると、また私は俯いた。

「ピアノを最後まで弾いても褒めてはもらえず…失敗したら恥晒しや出来損ないと言われました…

でも、奏さんだけには褒めていました…流石私の娘だ、と…
泣くしかないじゃないですか…

毎日毎日、泣いていました…
でも、ママは私を抱きしめて褒めてくれました…

流石ママの娘、すごく上手だったわって…
その後にすごく小さな声でごめんねって謝ってました…」

辛かった…

悲しそうなママの顔を見るのが…