「ただいま帰りました…」

「ただいま」

「おかえり〜!音ちゃん?」

詩乃さんは私の顔を覗き込んできた。

思わず詩乃さんに抱きついてしまった。

「音ちゃん!?」

ママじゃないけど、久しぶりに感じた母の温もりに思わず私は泣いてしまった。

あの人の事もあって。

詩乃さんは更に驚いていたけど、何も言わず、黙って抱きしめてくれた。

詩ちゃんや敦さん、おじい様も驚いていたけど、察してくれて黙っていた。

辛くて、悲しくて。

詩乃さん達の優しさが有難くて。

そして、安心して、涙が止まらなかった。

私が泣き止むまで、黙って、立っていてくれた詩乃さん達に申し訳ない…

だけど、離れたくなかった。