「所詮あんたはピアノだけの人。姉妹をピアノ上手い下手で比べ、出来の違いで差別したりする奴に、娘と認めてもらいたくもない。

パパと呼びたくもない。ここに来た私が馬鹿だった。

さようなら。今後一切、私に関わらないで。

私は一生、あなたを許さない」

私の頬を涙が伝った。

それに気づいた律くんは、私の腕を引っ張り、家を出ようとした。

玄関から出ようとすると、後ろを振り返った。

「音がプロになったら、必ず殴りに来ます。楽しみにしてろよ」

律くんはすごく怖い顔をした。

あの人の顔も、恐怖で怯えていた。

奏さんは、泣きじゃくっていた。

でももう知らない。

律くんについて行く。

私達は、家を出た。