「私は努力を沢山して時間もかけて、ようやっとプロになれたのに…お前は努力もせず時間もかけず完璧だった。

私の苦労はなんだったんだ、そう思い始めた。だから、音を傷つけた。

音より下手な奏を可愛がり、沢山指導した。音の分まで」

「パパ!?上手だって!コイツより上手だって言ってくれたじゃない!

あれ嘘だったの!?」

「当たり前だ!」

「…!?」

「お前が弾けるようになったのは小2になってからだ。感情も篭ってなかった。

感情の籠ってないピアノが、上手いと言えるか!?」

あー…

ダメだ…

馬鹿だった…

「ごめん前言撤回。もう娘と認めてもらわなくていい。パパって呼びたくもない」

「音…?」

律くんが心配して声をかけてくれたが、こっちを片付けたかった。