それと同時に、チャイムが鳴った。

「あ、授業始まっちゃう。行こ、律くん」

「……うん」

過去の事は、誰にも話した事ない。

出来るだけ話したくない。

“タダノヨワムシダカラ”

「音ー!大空くーん!早くしないと先生来ちゃうよー!」

「はーい!」

ピアノなんて無くていい。

ママと友達がいてくれるだけでいい。

ただそれだけで…ーー