その日、夢を見た。

私達の夢。

あの人とママと、奏さんと私が笑ってる。

楽しそうに。

こんな記憶無い…

『記憶が無いんじゃなく、あなたが忘れているだけなのです』

誰かの声が聞こえる。

「誰?」

『あなたのお母様の代わり、と言いましょうか』

ママの…!?

『ご覧なさい。お父様もお母様も、お姉様もあなたも楽しそうですよ』

私が見ると、場面が変わった。

『あなた方が、ピクニックに行かれた時の記憶です。お次は、旅行に行かれた時の。そのお次はーー』

「やめて!!!やだ聞きたくない!!!」

苦しいっ…

これ以上聞きたくないっ…

『これで良いのですか。あなたはお父様に酷いことをされてきました。ですが、あなたが封印した記憶の中では、お優しく、笑顔で可愛がられていたではないですか』

封印した記憶…?

何それ…