「音ちゃん、恩返ししてくれるならお嫁ちゃんに来てね☆」

「…えっ」

詩乃さんが耳元でそう言った。

「お嫁ちゃんに来てくれたら恩返しになるけどなぁ」

一気に顔が熱くなった。

てゆか、聞こえてた…?

考えている事がバレた…?

「あ、そうだ音ちゃん」

「は、はい!」

「言い忘れてたんだがな…音ちゃんと琴音ちゃんが暮らしていた家、自由に行って良いからな」

そう。

理解出来なかったよね。

「えっ…と…」

「琴音ちゃんと音ちゃんとの思い出が詰まったお家だから、取り上げたくなくて、敦にお願いしたの」

「帰りたくなったら、何時でも帰って良いんだぞ」

「えあっ…ありがとうございますっ…」

もうあのお家、無くなったかと思った…

無くなってなかったんだ…