「「はあっ…はあっ…」」

「あっ…はっ…すっ…すげぇ…」

「凄すぎて息出来ないかと思った…」

望月くんが見たのは初めてなんだよね。

蘭子は本番、会場に見に来てくれる。

「あんた達、また上手くなったなぁ。あたし、こんなに凄いピアノ聴いたことない」

そう言いながら、私の頭を撫でてくれた。

「えへへ…」

「音、あれからよく頑張った。あたしが近くで見てたんだから分かる。音は成長した」

蘭子には沢山心配かけてきて、守ってくれた。

蘭子がいてくれて、本当に良かった。

「ここまでよく頑張ったな、音」

「えへっ…」

笑おうとした。

だけど、涙が溢れて止まらなくなった。

「音…泣かないの」

涙を拭って、抱きしめてくれた。