「まぁ、座れよ」

「あ、うん」

「律達、ピアノ弾いてたの?」

望月くんは、ピアノと楽譜を見てそう聞いた。

「ああ。2週間後にコンクールがあるから」

「まじかよ。確か連弾するんだっけ?」

律くんは頷き、私を見た。

「音」

言いたい事は分かる。

私は頷き、ピアノに向き直した。

そして、コンクールで弾く曲を弾き始めた。

律くん以外の人が居ると居ないとじゃ、全く違う。

緊張感が持て、躓かないで弾ける。

その曲、最後まで弾けた。